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851話

赵三斤と柳浄天をホテルに送り届けたのは、あの同じトヨタ車だった。後部座席では、赵三斤が眉間にしわを寄せたまま、表情が晴れることはなかった。こういう時は柳浄天でさえ口を挟むのを控えていた。結局のところ、多くの事柄は赵三斤が整理していく必要があるのだから。

別の視点から見れば、鈴木三郎が赵三斤にこの件を任せたのも、彼を本当に信頼しているからこそだった。

「赤坂さん、誰かに尾行されています!」言い忘れていたが、赵三斤たちが乗っているトヨタ車の後ろには、彼らを護衛する二台の軍用オフロード車が続いていた。その急迫した声が車内の通話システムから響いた。

「何者だ?」赤坂と呼ばれた運転手は顔色を変え、...