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839話

果てしなく広がる大海原、遠洋貨物船はまるで一枚の小舟のように海面を進んでいた。見渡す限り、月明かりが照らし出すわずかな光だけが周囲の海水を見分けることを許していた。

貨物船の操舵室後方の船室で、司楽は今、眉間にしわを寄せ、目の前に立つ中年の黒人男性を見つめながら訝しげに尋ねた。

「島国側がどうして突然海洋封鎖令を出したんですか?」

「おそらく島国の最近のクーデターに関係しているのでしょう」黒人も相当困惑した様子で、最近の変事から少し推測を加えるだけだった。

「つまり、私たちが島国の領域に近づけば、拿捕されるリスクがあるということ?」海上航行に長年携わってきた司楽にとって、多くの規則や条項...