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837話

時間は刻々と流れ去り、黒衣衛が趙三斤に与えた十分間はもう残りわずかとなっていた。先ほどの黒衣衛との一戦を経て、趙三斤には確信があった。黒衣衛は絶対に言葉通りに行動する男だ。約束の十分間、一秒も余分には与えないだろう。

このまま膠着状態が続けば、不利になるのは趙三斤たちの方だ。前にはヒーバーレイルが天叢雲剣を手にし、後ろには東方クルーズ船の黒衣衛が控えている。

ちょうどそのとき、趙三斤のスマホが激しく振動し始めた。時間から考えれば、間違いなく月蕭からだろう。

遠洋を越えて戻ってきた貨物船がこの近くに到着したようだが、趙三斤は急に立ち去りたくなくなった。理由は単純だ。天叢雲剣の妖しく強力な力...