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836話

東方クルーズ船、五階のレストラン。豪華な内装に加え、床から天井まで広がる大きな窓ガラスが特徴的だ。窓の外には徐々に人々の視界に広がり始めた夜明けの魚腹白の空。海の景色を眺めるのも一興というものだ。

レストランの窓際の席では、整然としたレストランの雰囲気とは不釣り合いな、乱雑な状況が繰り広げられていた。

「随分と大胆な真似をするじゃないか?我々のオークションの招待状を盗むだけでは飽き足らず、こうも堂々と尾行してくるとは。死にたいのか?」ヒベラエルは窓ガラスに寄りかかるブラックパンサーの上に足を乗せ、冷たく問いかけた。

「ふざけるな!道は広いんだ、好きに歩かせろ!招待状を盗んだことに腹を立て...