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831話

競売会場の大広間は柱のない空間で、金箔を施した天井の下、前方のステージには三メートルの高さを誇る仏像が立ち、半開きの腕を蓮花指で競売に訪れた人々に向けていた。

舞台から視線をゆっくりと戻すと、整然と設けられた段々に上がる座席が秩序正しく並び、前方の舞台に展示される競売品を一目で見渡せるようになっていた。

座席の両側には床から天井まで届く展望ガラスが採用され、その厚さは防弾仕様で、季節によって異なる景観に変化させることができる。まさに科学技術の粋を集めたものだった。

「見たところ、この競売場は仏教を信仰しているのかな?」ブラックパンサーは話し始めると止まらなくなり、辺りを見回した後、続けた...