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678話

浴室のドアはガラス製で、中の様子を直接見ることはできないものの、柳盈盈の妖艶な身体のシルエットが照明の光を通して、ガラス越しに浮かび上がっていた。

趙三斤は思わず唾を飲み込みながら、手に持った衣服を柳盈盈が少しだけ開けたドアの隙間から差し入れた。浴室からの湯気が隙間を通って趙三斤の体に当たり、誘惑的な香りが鼻孔をくすぐり、彼の心を一瞬奪った。

「ありがとう」柳盈盈の蚊の羽音のような細い声が、かすかに趙三斤の耳に届いた。

実のところ、趙三斤も柳盈盈も分かっていた。本来なら柳盈盈が趙三斤に衣服を届けさせるはずもなく、趙三斤も進んで柳盈盈に衣服を届けようとするはずもない。この気まずい場面が生じ...