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630話

「江海市!」

柳浄天と鈴木三郎は素早く断塵法師の隠れ家へと向かっていた。前回の大戦から既に十日ほど経過している。断塵法師の手腕から考えれば、完全に回復していないにしても、七、八割は回復しているだろう。

正面から戦えば、柳浄天と鈴木三郎が力を合わせても、勝算は六対四が精一杯だ。

「着いたぞ」運転手が車を停めると、二人はすぐに夜闇の中へと姿を消した。

今回も豪華な別荘だった。場所も市の中心部にある。違うのはただ一点、断塵法師が寝室で狂気に満ちた行為をしているのではなく、別荘の庭に静かに立ち、まるで何かの到来を待っているかのようだった。

「どうも罠のような気がするんだが」別荘の柵の上に立ち...