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622話

個室の大きな扉は木製で、一人の両手で両開きの扉を同時に押し開けるのは少々力がいるはずだが、秦朗が全く手伝おうとしない状況にもかかわらず、扉は両側に開かれた。聞くまでもなく、ボスの登場には必ず子分が場を仕切るものだ。

「なかなかの見せ場だな!」趙三斤は足を組み、孫柔を腕に抱きながら、まるで芝居見物でもするかのように指摘し始めた。

「劉家のあの守銭奴たちとなにが違うの?」孫柔は当然、趙三斤の言葉の意味を理解していたからこそ、冷ややかに鼻を鳴らしてそう言ったのだ。

「違いはあるさ」趙三斤は微笑み、その言葉には直接答えず、ただ心の中で思った。「劉家の連中は、せいぜい大屯鎮の覇者に過ぎない。権力は...