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620話

個室の雰囲気は一時極めて気まずいものとなっていた。孫柔の手を取り後方に座った趙三斤は、まるで他人事のような態度で、二人は熱愛中のカップルのように親密に寄り添っていた。

前列に座っていた秦朗はすでに怒りに燃えていたが、二人のこのような親密な様子を目にして、さらに爆発寸前となった。同様に、秦朗の隣に座っていたクラスメイトたちも、趙三斤のために冷や汗をかいていた。

「孫柔!」その時、秦朗の側近が満面の笑顔で二人に近づいてきた。

「李班長?」孫柔が顔を向けると、そこには見覚えのある顔があった。

「李正でいいよ」班長という呼び名に対して、李正は今では自分への侮辱のように感じていた。ただ、孫柔が秦...