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592話

八十六階には、趙三斤と夏霊墨の他にも、二人の中年男性が一緒にエレベーターから降りてきた。その腹の出た姿は、長年こういった高級な場所で過ごしてきたからこそ蓄えられた贅肉だということが一目で分かった。

「いらっしゃいませ」幸いにも、すぐに接客に来たウェイターが趙三斤の思考を中断させた。職業的な笑顔を湛えながら、彼は趙三斤と夏霊墨を熱心に案内した。

「お二人はどちらにお座りになりますか?」高級中華・西洋料理の融合レストランとして、ウェイターのサービス水準も一流であり、話し方一つとっても春風のように心地よく感じられた。

「どうする?霊児」席選びというこの選択問題は、趙三斤としては夏霊墨に任せた方...