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1087話

江海市、夜も更けていたが、「寰宇グループ」の高層ビルの最上階、社長専用のオフィスだけはまだ灯りが点いていた。

ビルの外側から、黒装束の男たち数人が一本のロープを頼りに空中降下し、社長室の窓ガラスを破って侵入した。躊躇なく四方から机に向かう人物を包囲し、一斉に襲いかかる。

「まずい、罠だ」真っ先に椅子に接触した黒装束の男の表情が一瞬で曇った。慌てて叫び声を上げると、残りの仲間たちも身体を震わせ、何の躊躇もなく即座に退散しようとした。

「せっかく来たのに、このまま帰るつもりか?」次の瞬間、オフィスの窓の外に十数人の姿が現れた。全員が軍隊でしか装備されないM4A1シリーズのライフルを手にし、室...