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1020話

一行は再び龍家の広間へと戻ってきた。すでに三つの円卓が用意されていたが、それでも広々とした空間にはまだ余裕があった。

三つの円卓の前では、優雅で気品のある、振る舞いも大変上品な中年の女性たちが丁寧に食器類を整えていた。

特にその中の一人は、火龍を見るなり声を弾ませた。「龍ちゃん!」

「母さん!」火龍は笑みを浮かべながら、足早にその中年女性の側へと歩み寄り、大きく抱きしめた。それを見た龍陵はたちまち絶句し、思わず溜め息交じりにつぶやいた。「息子も大きくなったら、目に入れるのは母親だけか。なんとも哀しいものだな」

「何を馬鹿なことを言ってるの」中年女性は不満げに龍陵の背中をぽんぽんと叩きな...