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90話

崇光皇子からの約束を得て、鎮国公は確かに墨無痕に三万の兵を貸した。

朵顔衛はかつて大昭の辺境四衛の一つであったが、三十年前に天子の直接統制から離れ、制限がなくなったことで、今では三万を超える精鋭部隊に発展していた。軍事素養も従順さも禁軍をはるかに上回り、雲中衛に次ぐものであった。

朵顔衛をより良く掌握するため、鎮国公の長男・趙初霽と次男・趙初影も共に崇光皇子の側に来て、朵顔衛の指揮を補佐することになった。

一方、禁軍と雲中衛は、北境の通常防衛を除き、新たに募った兵士を加えて、総勢五千の将兵が長寧侯・唐浅の指揮下に置かれた。

墨無痕の配置によれば、墨無期がまだ攻撃を仕掛けていない間に、三...