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72話

墨無痕と墨無憂は沈黙を守っていた。そして、三皇子・墨無期が少し震える声で口を開いた。「鎮陵王妃が、鎮陵王が援軍を率いて駆けつけた時に行方不明になったんだ。鎮陵王は安和が人を派して鎮陵王妃を捕らえたと言い張っているから……」

「本宮がそんなことをするはずがない!」ずっと黙っていた墨無憂が口を開いた。その声は冷静で、むしろ唐浅には三皇子の方が臆病に思えた。「ただの雲霆という反逆者の謀反の口実に過ぎないわ」

唐浅は墨無痕を一瞥し、彼の肯定的な反応を見た。

唐浅は心の中の疑問を押し殺した。

彼女は墨無痕を信頼していた。墨無痕も安和帝姫が鎮陵王妃に危害を加えていないと言うのなら、彼女は安和帝姫の...