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71話

唐浅は馬に跨り、最も信頼する十三衛を従えて、宮門を開けて飛び出そうとしていた。だが、大殿から誰かが出てきて彼女を呼び止めた。

「唐浅!」武器の打ち合う音と殺し合いの喧騒の中、林子澈が彼女の名を呼んだ。その発音の微妙さに気づく者はいなかった。

唐浅は馬を引き留め、振り返って少年を見つめた。何と言葉をかければいいのか分からなかった。

「生きて帰ってこい!」林子澈はそう言った。

少年は階段に立ち、一面の白装束が戦火の中で風に煽られてぱちぱちと音を立てていた。

それは唐浅が何百回も何千回も林子澈から聞きたかった言葉だった。ただ、こんな状況で、彼女の命が風前の灯火のように消えそうな時に。

唐...