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58話

「陛下に感謝申し上げます」唐浅は立ち上がり、目の前の君主を見つめた。

相変わらず最も尊厳ある皇帝、高みにおられるその姿は二ヶ月前と変わらないが、眉間に幾筋かの疲れが刻まれ、頬もわずかに痩せていた。

「長宁侯は都に戻ったばかりだというのに、相府に家族の安否を知らせることもなく、慌てて朕に謁見を求めてきたとは、何か重要な事でもあるのかな?」高い位置から見下ろす皇帝陛下は少年の冷静さと沈着さを見て、心の中で、この少年はまだ唐家の変事を知らないのだろうと薄々察していた。

「陛下、臣下はご報告すべきことがございます」唐浅は少し間を置き、珍しく帝王の目をまっすぐ見つめた。「臣は山南にて、長生邪教と遭...