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56話

「ふん」燕林は吐き捨てるように言った。「お爺さんはあなたを見抜いていたからこそ、宗主の位をあなたに譲らなかったのよ」

「口先だけの強がりはよせ、甥よ。天兵図を出せば、このガキを見逃してやってもいい」

唐浅は黒装束の男の指す先を見た。そこには地面に押さえつけられた少年がいた。

燕図は口を押さえられ、声を出すことも身動きすることもできずにいた。

燕林の表情は険しかった。

「天兵図はそもそもこの世に存在してはならないものだ。お前が長生教を助けて天兵図を手に入れようとしているが、それがどれだけの命を奪うか分かっているのか...」

「世の中の命などどうでもいい。この天兵図さえあれば、長生教と...