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33話

唐浅は燕浮生を目にした瞬間、墨無痕が自分を呼びつけた理由が分かったような気がした。彼女は墨無痕が試しているのだと思った。自分が本当に燕浮生の生死に関心がないのかどうかを。だから、わざと燕浮生が罰を受ける姿を見せたのだろう。

だから、墨無痕は本気で読書をする気などなく、この時の気が散るのも当然なのだろう?

「長寧侯の軍功は卓越しているが、本の話となると、実に退屈だな」墨無痕は姿勢を変え、思わず握りたくなるその首筋から視線を逸らした。「儂はもう少しで眠りそうだ」

「唐謙は粗人でございます。行軍と陣を布くことしか分からず、殿下の御前で恥をさらしております」唐浅はもともと文人墨客の大作に詳しくな...