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29話

轻蓝がそう言ったとき、唐浅はまだ少し戸惑いを感じていた。

女の子が装いに気を遣い始める頃から、唐浅は男装を身につけるようになった。それ以来、彼女は女の子のように悩む必要もなく、服を選ぶ機会もなかった。

しかし唐汐が彼女の意見を参考にしたいと思うなら、唐浅も辞退せず、深く考えることもなく、唐汐の部屋に足を踏み入れた。轻蓝も唐浅の後に続いて入ってきた。

唐汐の部屋はアロマの香りで満たされていた。強烈というわけではないが、やや甘ったるく、唐浅はこのような香りに慣れていなかった。侍女たちは長宁侯が入ってくるのを見て、次々と礼をし、重なり合う薄絹のカーテンを持ち上げた。カーテンには鈴が垂れ下がり、チリン...