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270話

「杜侍郎はいつもこのように口が過ぎるが、朝廷の者たちもほとんどが聞き流すだけだ。長寧侯はあの者と争う必要はない」親王は蟒袍を身にまとい、白玉の冠で髪を束ね、玉のような顔立ちをしていた。その容貌は唐浅の記憶にある初めて墨無痕に会った時の姿に幾分似ていたが、当時の崇光皇子の鋭さは消え、代わりに落ち着きが増していた。

これほどの歳月を経て、山野から呼び戻され親王に封じられた墨無錯は、かつて羽林衛の訓練場で会った時の飄々とした様子とはまるで違い、唐浅はしばし恍惚とした。

結局これだけの時が流れれば、誰もが—彼女自身も含めて—変わってしまうものなのだろう。

唐浅は心の内を隠し、表情に一切出さないよ...