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269話

銀白く俊敏な雪隼が梧桐城の上空を旋回し、その澄んだ鳴き声は郊外の村人たちにまでハッキリと届いていた。それは雲中衛で最も使用頻度の低い「穿雲」という雪隼であり、雲中衛が飼育するどの雪隼よりも速く飛ぶことができた。最北の白線守備から梧桐城まで、わずか三日の短い旅程だった。しかし特別なのは、穿雲が最高級の伝言にのみ使われること、つまり最高指揮官が直接目を通す急報、例えば今回の龍子桐から唐浅への緊急報告のようなものだった。

唐浅は退朝後に穿雲の鳴き声を聞き、口笛を吹くと、調教された妖獣が一気に急降下してきた。宮廷の禁衛軍がようやくその巨大な体躯の妖獣の姿を目にした。鋭い爪は、軽く一振りするだけであら...