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234話

伝説によると、九州大陸はかつて流浮という一つの国だけだった。流浮の国主は玄冥の力を持ち、風雨を操り、荒れた谷を豊かな田畑に変え、凶暴な魔獣を従順な家畜に馴らすことができたという。民は平和に暮らし、百年続いた豊作により国は富み、夜も戸締りをせず、百家争鳴し、科学と商業が空前の発展を遂げていた。

しかし神々は流浮の繁栄を妬み、玄女を遣わして王族を惑わせた。かつての神力は全ての災いの源とされ、流浮の王族は権力欲に目を曇らされ、互いに殺し合った。世界を滅ぼす炎は王城・雲彼城を焼き尽くし、血は流れ、魔獣が再び現れ、民は流浪い、生きとし生けるものが塗炭の苦しみを味わった。

幾年もの殺戮の後、我に返った...