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222話

雲中衛の駐屯地には抑圧された恐怖が漂っていた。

主帥はすでに十日以上姿を見せていなかった。長寧侯の親衛隊も非凡な将才を持ち、軍中で一声かければ百の応えがある求心力を持っていたが、あの女性が崇拝され神格化される程度には到底及ばなかった。

西沉関の戦いでは大勝利を収め、混乱に乗じて逃げ出した大斉の王子を除いて、王子の四百の親兵をほぼ全滅させ、大斉の騎兵に打ち負かされては逃げるだけで手も足も出なかった萎えた士気を奮い立たせた。しかし長寧侯が陣営に戻った時、全身が恐ろしい血痕で覆われ、さらには馬から落ちるという驚くべき事態が起きた。

長寧侯の側近が、主帥は単に疲労が蓄積しただけで大した問題はないと宣言...