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212話

彼女の世界は、かつて暗闇に閉ざされていた。

目が見えなくなった時、唐浅は適応するのに長い時間を要した。初めは躓いては全身を傷だらけにしながらも、障害者として特別扱いされることを頑なに拒んだ。やがて上官端華と剣を交えても引けを取らないほどになるまで、どれほどの苦労を重ねたかは本人にしかわからない。

だから、蝋燭の火が消され、辺りが一面の闇に包まれた時、勝負はすでについていた。

唐浅にとって、見えるか見えないかに大きな違いはない。しかし視力を失い、感覚が遮られれば、たとえ相手が多勢であっても、手足はままならず、気づかぬうちに一人ずつ打ち破られていく。

暗闇を経験した心は、すでに最も鋭い剣となってい...