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209話

雲彼城の通りに見られる常日頃の人影の少なさ、あるいは時折その中を行き交う異国の商人たちとは異なり、雲此城の中は人々で溢れかえっていた。各国の商人だけでなく、大部分が大昭の姿をした住民たちで、喧騒が絶え間なく続き、雲河の外側の町とは全く異なる世界だった。

「本当ににぎやかね」唐浅はなにげなく感嘆した。今の彼女は女装姿で、ただの一般家庭の女性のように見え、傍らにも同じく平服姿の杜蘭がいた。

「北方州府の雲此城は商業こそ発達しておりますが、鼎南城には及びません」杜蘭は傍らで親切に解説した。「鼎南の気候はより快適で、住民も裕福、商人たちもそちらでの取引を好みます」

「雲此城は裕福ではないの?」唐...