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179話

「笑みを浮かべた青年は言った。「卑職の目が至らないだけですが、ただ並外れて鋭いと感じただけです。普通の短剣なら、あの程度の矢の衝撃で何らかの傷がつくはずです。この短剣は刃が鋭いのに、傷一つありません」そう言って、さらに付け加えた。「上の浮雲模様も非常に見慣れないもので、どこの鍛冶屋の作なのでしょうか」

唐浅は言葉に詰まった。あの浮雲模様は、雲霆が残した刻印だった。

そしてその人物の名は、昔の反乱と血の跡とともに、禁忌となっていた。彼女でさえ、口にすることを許されていなかった。

目の前の見知らぬ将官が、意図的かそうでないかは分からないが、それを持ち出したことで、唐浅は警戒心を強めた。

思...