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170話

少女の言葉の余韻が消えないうちに、唐浅は見慣れた足音を聞いた。

碧痕も慌てて跪き、礼をする間もなく、唐浅は感じた。墨無痕が彼女をベッドから直接抱きしめる——いつもより強く。

「浅浅……」彼は彼女の名を呼び続けた。まるで彼女が本当にそこにいるのかを確かめるかのように。

唐浅は少し戸惑いつつも、墨無痕が僅かに震えているのを感じ取った。

まるで、いつ彼女を失うかもしれないと恐れているかのように。

彼女はこんなに恐怖する墨無痕を見たことがなかった。

かつて先帝殺害の濡れ衣を着せられた時も、追手に行く手を阻まれた時も、崇光皇子はいつも冷静沈着で、すべてを見下すような態度だった。

今のように...