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159話

唐浅は振り向き、墨無痕と向き合った。

「どうした、寝たふりはもうやめたの?」彼の声には明らかに揶揄の色が満ちていた。

今の自分は従順に振る舞い、彼の怒りを買わないよう、無実の人を巻き込まないようにするのが最善だと分かっていながらも、唐浅は何故か心が激しく動揺していた。まるであの時、彼が悪人に人質に取られた雪貴妃を救出するために心血を注いでいると知った時のように、嫉妬と怒りで自分を抑えられなくなっていた。

「もし陛下がそのようなご要望でしたら、宮中の女たちの方が罪臣よりも陛下をお慰めできるでしょう。罪臣は目が不自由ですので、お仕えするにも至らず、陛下をお満足させることはできません」

ただ沈黙があ...