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155話

唐浅の目には、わずかな光しか入らなかった。もう夕陽が沈みかける時刻なのだろう。

彼女は淡い色の布の衣を纏い、目には同じ素材の布を巻いていた。痛みを和らげる薬草が染み込んだそれが、彼女の目を覆っていた。

一年前、彼女は辰山の崖から身を投げた。落下する瞬間、燕浮生が彼女を抱きとめた。そのおかげで幸運にも、彼女は目の周りの皮膚を枝で切り裂かれ、手足を骨折しただけで済んだ。燕浮生のように肋骨が折れ、内臓に危険が及ぶことはなかった。

最も意外だったのは、燕浮生が彼女を救ったことだった。

経脈が断たれ、手足を骨折したのは、かつて彼が彼女の経脈を断った仇を返されたようなものだった。

崖底に転がり落...