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150話

風がふと吹いて、唐浅は目に入ったそれに目を細めた。一瞬、目を開けることができなくなった。

目がまた痛み始めた。

瞬きをしながら、目に吹き込まれた砂を涙で洗い流そうとする。しかし、涙に揺らめく光の中で、何かが見えた。

恐ろしい緑色の炎が空一面に広がる中、男の凶暴な顔が、遠くの少年と微妙に重なり合っていた。

唐浅は動きを止めた。視線がぼんやりと流れる中で、彼女は山の霞が雲を巻き上げるのを見た。目の前には今の禁衛軍とは異なるが、非常によく似た黒い鎧。そしてその傍らには、少年によく似た顔があった。

「……覚えているか?あの時、お前が私に捕らえられていたら、墨無痕は一瞬も躊躇わなかっただろうな……」

胸...