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120話

「浅浅、子供が欲しい」墨無痕が彼女の耳元に囁いた。「大昭にも皇位継承者が必要だ」

唐浅はその場で硬直した。墨無痕に髪を解かれるがまま、五本の指が髪の間を通り抜け、長い髪を弄ぶのを受け入れていた。

「贈った簪はどうした?身に着けているのを見ないが」墨無痕が突然尋ねた。

「しまってあります」唐浅は墨無痕に乱された髪を耳の後ろに掻き上げ、自分の両耳が熱くなるのを感じた。「とても貴重そうですから、壊してしまうのが怖くて」

墨無痕が彼女の耳たぶにキスをしているのを感じ、低く笑い声が漏れた。「それはお前に贈ったものだ。浅浅、つけていてほしい。あれは母上が最も愛していた簪なんだ」

「懿徳皇后の簪で...