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116話

彼女に最高のものを与えたいと思った。かつて彼女が彼にすべてを捧げたように。

彼女の剣、兵権、そして大昭国すべてを。

「陛下、時刻となりました」と洛绎が殿外から声をかけた。

「行こう、浅浅」墨無痕はそう言いながら、皆の前で唐浅の手を取った。唐浅が手を引こうとした時、力を込めて握りしめ、離そうとしなかった。

「陛下」唐浅は顔を伏せ、墨無痕を見ようとせずに言った。「これは礼に適いません」

彼が彼女にこの衣を贈ったことも、彼が彼女の手を取ることも。

墨無痕は怒るどころか、問い返した。「礼に適わないのか、それとも私を受け入れたくないのか?」

唐浅は答えなかった。

墨無痕は軽く溜息をついた。「今答えを求め...