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9話

花十七は小走りに進み続け、砂利につまずき転んで数メートル先まで飛ばされても、抱えていた大きな石榴を守ることを忘れなかった。淡い紫色の瞳は焦点を失ったまま前方を見つめていた。目を覚まして最初に見た人から、今や彼を恨み憎む人へ。あまりにも突然の変化に、彼はどう反応すればいいのか分からなかった。

花十七は地面から立ち上がり、足を引きずりながら近くの洞窟へと向かった。今は一人になりたかった。兄が自分を探しに来るのを待ちながら。目を覚ました時に聞いた最初の言葉、花問海の言葉を思い出した。

「小十七、怖がるな。黄泉の地獄であろうと、兄さんがついている!」

「どうして……」

どうしてこうなってしまっ...