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86話

花葬骨は気を失う前に最後の一言を聞いた。自分も汚れていると感じていた。血を入れ替え、皮を剥いでも洗い流せないほどに。こちらの危機は去ったが、北陽山は大混乱に陥っていた。

薛槐が部屋に戻ると、封霊散の匂いがした。心が締め付けられる思いだった。ベッドはすでに空っぽで、封霊散——その名の通り霊力を封じる粉だ。もし花葬骨の霊力が封じられているなら、何かが起きたに違いない。

「誰か来い!山中を探せ!誰一人見逃すな!」

薛蘭焔は本気で怒っていた。彼の目の前で、罠や結界をすり抜け、花葬骨を連れ去り、しかも気づかれないなんて。そんなことができるのはたった一人、薛蘭焔だけだ!

三分春色に足を踏み入れた瞬...