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85話

「魂梦草を薛槐に届けてきなさい。彼は今、それを必要としているはずだ」

「しかし、御公子様、あなたのお薬は……」

「もう必要ない。私の命は私が一番分かっている」

薛兰焰は惊蛰の言葉を遮り、目の奥に一筋の疲れが閃いた。本当に疲れていた。この世で生きることは容易ではないが、死ぬことがどうして簡単だろうか。薛兰焰は体を翻して人気のない小道へと入っていった。そこには既に彼を待つ人がいた。

「師匠をお待たせしました」

小道の先には断橋石廊があり、石のテーブルの前で白い衣を纏った楚辞が目を閉じて静養していた。薛兰焰がお茶を淹れ、彼のために一杯注ぐまで目を開かなかった。かつて興に乗って拾った幼子が、...