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7話

雲海の上、三十三天、淡々とした瞳が人間界を見下ろす。本来、神に心はなく、情など持つべきではないはずだが、いつからか冷淡さに揺らぎが生じていた。かつて神になることを放棄した者の心境が、今ならわずかながら理解できる。わずかではあるが、それで十分だった。

「諸君、わしと一勝負、付き合うてみぬか?」

唇を動かさずとも、冷たい声が空間に響き渡る。返事はなく、やがて風塵纏う神が姿を現した。手を一振りすれば、月のように白く清らかな装いとなり、続いて紫の影が現れる。その瞳は海のように深く、目尻の花紋は妖しく魅惑的だった。

「何を賭ける?」

月白の装いの神は露の滴りを一気に飲み干し、無言の嘆息が漏れる。...