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168話

花葬骨は箬離を抱きかかえて鏡湖の中に座っていた。手も体も血まみれで、足元の湖水まで赤く染まっていた。実は彼はずっと目を閉じていただけで眠ってはいなかった。だから、あの言葉をすべて聞いていた。まだ誰かが死ぬ。彼のせいで!

唇に浮かぶ笑みにも気づかず、花葬骨は手探りで箬離を背負い上げた。成り行きに任せてとある方向を選び、歩き始める。ここからどう脱出すればいいのか分からなかった。箬離が彼をここまで抱えてきたとき、指で彼の背中にこう書いていた。

「私が死んだら、どの方向でもいいから進め。決して人前に姿を現すな」

花葬骨はただ記憶がないだけで、普通の人より少し鈍く、臆病なだけで、決して愚か者ではな...