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145話

九州、万聖殿

巨大な殿堂の中に並べられた様々な神兵利器が冷たい光を放ち、殿内全体が厳かな殺気に染まっていた。炉の頂から微かな血の匂いが絶え間なく漂い出ていた。それは香ではない。九州では万聖殿について語ることを避け、その理由は明らかではなかった。九州創設以来、万聖殿の主を見た者は一人もいない。しかし、誰もが知っていることは、万聖殿内に常に漂う血の匂いが、生きた命によって維持されているということだ。勇気はあっても知恵のない、来ても帰らぬ勇者たちが、この炉の中の香料となっていたのだ。

極端な善が極端な悪を生み出す。万聖殿の高くそびえる古い荊棘の玉座に、黒い衣が全てを包み込み、まるで暗闇の中の...