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775話

龍兄が安二狗に手を出さなかったのは、伶俐を大事に思い、彼女を傷つけることを恐れていたわけではなかった。彼の目には、伶俐は単に娘の仙児に仕える侍女に過ぎず、何を惜しむことがあろうか。必要なら別の者に取り替えればそれでいいのではないか。彼が感じ取ったのは、安二狗の目から漂う並々ならぬ気配だった。女を相手に午後いっぱい楽しめるその持久力と能力は世に稀であり、特にあの精気に満ちた目は、英気に溢れ、自信に満ち、傲慢さえ感じさせる。並の人物ではないからこそ、あれほどの余裕があるのだろう。

龍兄の江湖での経験と地位をもってすれば、そのことが見抜けないはずがない。だからこそ、心中は激しく怒りを覚えながらも、...