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654話

「施主、おっしゃってください!」静慈は不審げに横目で尋ねた。彼の色眯々とした目から何かを感じ取り、心の中で不安がよぎった。この男がもし山の中で私を強引に犯したら、私はどうすればいいの?阿弥陀仏、そんなことになりませんように。彼はあんなに強くて、男性二人でも敵わなかったのに、私なんか抵抗できるはずがない。

「怖がらないでくれる?安二狗はお前のことを気に入ってるとはいえ、こんな人里離れた場所で弱みに付け込んで無理やり犯したりはしないよ。意味ないじゃん。ただお前の歩みが遅いのが気になってるだけさ。このペースじゃ、庵に戻るのに一時間以上かかるだろ?庵に着いたら昼になっちまって、俺は昼飯を食ってから帰...