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2757話

それゆえ、安二狗が最も誰にも期待されていない場所、つまりあの険しい絶壁から幽情谷に入る選択をしたのだ。絶情峰さえも飛び越えた男には、冒せない危険などないのだろう。ここは絶情峰と相対し、東西に位置し、安家寨の東側にある。目測で二つの峰は五、六キロほど離れている。絶情峰の下にある幽情谷については、安二狗は誰よりも熟知していた。谷には毒蛇や野獣が多いとはいえ、彼と師匠は長年それらと関わり合い、その習性を熟知し、谷の生き物たちと平和に共存していた。だからこそ、これらの凶暴な毒蛇や猛獣は安二狗の心配の種ではなかった。

安二狗が警戒しているのは、この側の幽情谷にある未知の危険と秘密だった。おそらくこれこ...