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2489話

「すみません、皆さん。私はカルロス大統領のお客で、先ほど道に迷ってしまいました。大統領の執務室はどこにありますか?」安二狗は笑顔で尋ねた。

「大統領のお客人ですか?あなたはどなたでしょうか?」警備員の一人が疑わしげに問いかけ、隣の建物を見やって心配そうな表情を浮かべた。カルロスの執務室はこの建物の中にあるのに、この男は道に迷ったというのだ。

「ああ!私は華夏国のフィリピン駐在外交官です。初めて貴国の大統領府に来まして、総領事館の指示で大統領に招待状をお届けしに参りました」安二狗は適当に言い繕った。

安二狗の言うことがもっともらしく、また華夏人特有の容貌をしていたので、警備員は疑いを払拭し...