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2058話

密林に入ると、二人は山を下る方向に走り出した。安二狗はモンナの足の遅さに辟易し、結局彼女を背負って駆け下りることにした。モンナは安二狗が稀有な武林の達人であることを知ってはいたが、こういう状況は初めての経験だった。自分だって五十キロ近い女なのに、安二狗は彼女を背負ったまま密林を飛ぶように走っている。この男の体力はなんて凄まじいのだろう!

十数キロメートルも走り続け、アバニエフの全ての哨所を避け、ついにアバニエフとモルセフ、二つの拠点の境界に辿り着いた。厳密な区分けはないものの、それぞれが勢力範囲を持ち、暗黙の了解として互いにそれを尊重し、通常は勝手に越境することはない。

一本の小川がその境...