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1310話

周囲はすべて岩石で、床も乾いていたので、この場所が経蔵として適していたのだろう。見渡すと、黄ばんだ線装本が並んでおり、相当な年月を経たものであることは間違いなかった。

静音は布団を隅の空いたスペースに敷くと、何をすればいいのか分からず、恥じらいの籠った美しい瞳で安二狗を見つめた。安二狗は彼女が初心な女性だと理解していた。五十歳を過ぎていても、これまで女として生きたことがなく、まだ初々しさが残っていた。

安二狗はまず彼女を抱き寄せ、雰囲気を盛り上げた。「これからは俺のことを二狗と呼んでくれ。安施主なんて呼ぶんじゃないぞ。俺も静音とは呼ばない。出家する前の名前で呼ばせてくれ」と安二狗は悪戯っぽ...