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372話

死を待つことは、死そのものよりもずっと苦しい。

特に秋泠は、この災厄から逃れる術がないことを知っていた。だからこそ、彼女は災いの到来をただ座して待つしかなく、その恐怖と苦痛はますます深まっていった。

漆黒!

彼女の下腹部は、あの時の副隊長と同じように、漆黒のインクのようになっていた!

彼女も毒に侵されていた。しかもその毒は肉眼で見えるほどの速さで広がっていた。

秋泠は歯を食いしばった。副隊長が逃げる途中で刃を受けたせいでこのウイルスに感染したわけではなかった。彼らはずっと前からいつの間にか、この毒を植え付けられていたのだ。

この毒は秋泠に奇妙な辛辣感をもたらした。その感覚はウイルスの蔓延...