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33話

秋泠は固まってしまった。彼が突然何をしようとしているのだろう？

この勇敢で気骨のある少女が、この瞬間に急に動揺した。

彼女は戦争を経験し、戦場に立ち、手にした銃で敵を殺したこともあった。自分も敵に殺されかけたこともある。そんな時、少しでも躊躇えば命を落としていただろう。

しかし蘇陽の顔が近づいてくるのを前にして、彼女は為すすべを知らなかった。

熱い息が近づいてくる。彼女はもうすぐ初めてのキスを奪われようとしていた。しかも、知り合ってそれほど経っていない男に。

嫌悪？恐怖？そういった感情は秋泠の心には浮かんでこなかった。

与えてしまえばいい、命の恩返しだと思えばいい、取引だと思えば。

秋泠はテレ...