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311話

目に映るのは、碧き石と美しき水。

蘇陽の目に入る楼閣の世界は、どれも小院の主の審美眼を如実に映し出していた。

「妹よ、この方は?」

蘇陽が左右を見渡して庭園の美しさに見入っていると、背後から渋みのある男性の声が聞こえてきた。振り返ると、四角い顔立ちに身なりのきちんとしたスーツ姿、堂々とした眉目の男が立っていた。

「初めまして、蘇陽と申します。陳さんのお父様を診るためにお招きいただきました」

陳思雲の紹介を待たずに、蘇陽は自ら名乗り出た。

陳思雲は頷いた。「お兄さん、こちらが蘇陽さん。聞いたことがあるでしょう」

その男性は蘇陽だと聞くと、非...