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240話

「我らを裏切る者には骸骨さえ残さない」

船上の金持ちの若者は明らかにそのことを知っていた。黒装束の女が彼らの要求を簡単に受け入れれば受け入れるほど、彼の不安は募っていった。

彼女を解放した後、自分に報復が降りかかるのではないかという恐れだ。

「お前たちは船を三隻分下がれ。こいつを小舟に乗せる。聖火令も小舟に置け。そうすれば交換だ」若者は厳しい口調で言った。

「了解した」対向する船から声が返ってきた。

「ただし、試験体の他に、もう一人の捕虜も要求する」

もう一人の捕虜?金持ちの若者は一瞬戸惑い、振り返って蘇陽を見た。にやりと笑うと、手のファイブセブンを素早く動かし、漆黒の銃口を蘇陽に向けた。

蘇...