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203話

「ヤマダ?」蘇陽が試すように尋ねた。

ヤマダとは「山田」の音訳で、蘇陽が桜吹に挨拶する時、「山田桜吹」と呼んでも彼女には通じない。蘇陽が「ヤマダ」と呼んで初めて、桜吹は自分が呼ばれていることに気付くのだった。

窓際の人影は蘇陽の「ヤマダ」という声を聞いて、振り返った。

蘇陽は慌てて布団を抱きしめた。「うわっ、いつからそこにいたんだよ?」

桜吹は彼の言葉の意味が分からず、また顔を背けた。蘇陽を見たくないといった様子だった。

「てきしん ほうご」桜吹は四つの言葉を発した。

この少女の中国語はあまりにも拙く、蘇陽はしばらく考えてようやく理解した。彼女の言いたかったのは「貼身保護(身辺警護)」というこ...