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186話

「唐沢さん、あのバカはもう帰りましたから、撮影は普通に進められますよね?」蘇陽は肩をすくめた。

唐沢九は恐る恐る頷いた。自分のパートナーがこんな背景を持っているとは知らなかった。それが吉と出るか凶と出るかはわからないが、豊臣大山があんな風に懲らしめられるのを見て、彼の心中はかなりすっきりしていた。

平安京都、東洋東映会社は東洋最大の映像産業グループとして、この一等地に一棟丸ごとのオフィスビルを構えていた。オフィスビルの向かいからそう遠くないところには、世界的に有名な東京タワーがそびえ立っている。

豊臣大山はまさにその東京タワーで「彼女」とデートしていた。今日は彼にとって非常に悔しい一日だっ...